前回は、脚のむくみが骨盤まわりのリンパの流れと
関係しているという話をしました。
今回はその骨盤の深部にある「大腰筋」という筋肉に注目してみます。
むくみと筋肉、あまり関係なさそうに思えるかもしれませんが、
これが意外とつながっているんです。

大腰筋は、背骨の腰のあたりから骨盤の内側を通って、
太ももの内側の骨につながっている筋肉です。
体の表面からは触れない、体の奥深くにある筋肉のひとつです。
股関節を曲げる動き
たとえば歩くときに脚を前に出す動作に大きく関わっています。
姿勢を保つうえでも重要で、背骨や骨盤を内側から支えています。
ピラティスでもよく「インナーマッスル」として取り上げる筋肉のひとつです。
大腰筋のすぐそばには、リンパ管や太い血管が通っています。
大腰筋が柔軟に動いているとき、その動きがポンプのような役割を果たして、
まわりのリンパや血液の循環を助けています。
歩いたり体を動かしたりするたびに、
大腰筋が収縮・伸長を繰り返すことで、リンパが流れやすくなる。
逆に言うと、大腰筋が硬くなったり動かなくなると、
そのポンプ作用が弱まって、リンパの流れが滞りやすくなります。

椅子に座った姿勢では、股関節が曲がったまま固定されます。
大腰筋はその股関節を曲げる筋肉ですから、
座っているあいだはずっと縮んだ状態が続いている、ということになります。
筋肉は長時間同じ状態で固定されると、その形のまま硬くなっていきます。
デスクワークが多い方の大腰筋が硬くなりやすいのはこのためです。
硬くなった大腰筋は動きが小さくなるので、
ポンプとしての働きも弱まる。
骨盤まわりのリンパが流れにくくなって
夕方の脚のむくみにつながっていくという流れです。

「とにかく歩いと方が良い」とよく言われるのは、実はこういう理由もあります。
歩くとき、大腰筋は脚を前に出すたびに伸び縮みを繰り返します。
その動きがリンパのポンプになる。ウォーキングがむくみ対策として勧められるのは、
ふくらはぎだけでなく大腰筋も動かすからです。
逆にいうと、エレベーターやエスカレーターばかり使っていたり、
移動のほとんどが車だったりすると
大腰筋はほとんど動かないまま一日が終わってしまいます。
意識して階段を使うだけで、大腰筋への刺激が増えます。
特別な時間を取らなくてもできる、日常の中の小さな積み重ねです。
大腰筋の話をしてきましたが、実はこの筋肉、呼吸ともつながっています。
次回は横隔膜と呼吸の話です。
「深呼吸するとむくみが変わる」と聞いたら、イメージできますか。
その理由を解説します。