身体のこと | 福岡の大濠にあるピラティス・ヨガ スタジオKANON(カノン)

代表ブログ

肩こりや慢性疲労、原因は口の中かもしれない|歯周病と全身の健康の関係

身体を整えているのに、なんとなく不調が続く。

疲れが抜けない。肩こりが取れない。頭痛がある。

 

姿勢を見直して、運動もしている。食事にも気を使っている。

それでも改善しないとき、見落とされやすい場所があります。

 

口の中の慢性炎症です。

身体全体をみる視点を持っているなら、

口の中も「全身の一部」として見ておく必要があります。

歯周病は、口だけの病気ではない

歯周病というと、

歯ぐきが腫れる・出血する、というイメージが強いかもしれません。

 

でも実際には、口の中で慢性的な炎症が続くことで、

細菌や炎症性物質が血流に入り込み、

全身へ影響を及ぼす可能性があることが分かってきています。

 

口という限られた場所の炎症が、血流を通じて全身の炎症レベルに関わってくる。

そういうしくみがあるということです。

 

身体の中で起きていること

流れを整理するとこうなります。

 

口腔内で慢性炎症が起きている

→炎症性物質や細菌が血流へ入り込む

→血流に乗って全身へ運ばれる

→慢性的な炎症状態につながる可能性がある

 

関連が報告されている疾患

現在の研究で関連が報告されているものとして、以下が挙げられています。

 

  • 糖尿病
  • 動脈硬化
  • 心血管疾患
  • 脳血管疾患

特に糖尿病との関係は、双方向であることが知られています。

 

歯周病が血糖コントロールを悪化させる一方、

血糖値が高い状態が歯周病を進行させやすくする。

お互いに悪影響を及ぼし合う関係です。

 

ただし、これらの多くは「関連が報告されている」段階であり、

歯周病がこれらの病気を直接引き起こすと確定しているわけではありません。

 

年齢や生活習慣など、他の要因も関わってきます。

歯周病があれば必ず発症する、

という話ではないことは押さえておきたいところです。

身体だけ見ても、見つからないことがある

肩だけ、腰だけ、足だけを見ていると、

全体が見えなくなることがあります。

 

私がピラティスで大切にしているのも、

部位ではなく身体全体のつながりを見ることです。

 

その視点を広げると、口の中も「全身の一部」として見えてきます。

 

原因がはっきりしない慢性的な不調の背景に、

口腔内の炎症が関係しているケースもゼロではない。

 

もちろん、すべての不調が歯周病によるものではありません。

でも、視野の中に入れておく価値はあると思っています。

 

痛みがなくても、レントゲンが必要な理由

歯周病は、痛みがない状態で進行していることがあります。

 

見た目の歯ぐきだけでは分からない炎症を確認するために、レントゲンでは

 

  • 歯槽骨(歯を支える骨)の状態
  • 根尖病変(歯の根の先の異常)
  • 骨吸収の程度
  • 見えにくい部位の炎症

 

などを確認することができます。

 

「痛くないから大丈夫」ではなく、

定期的に口腔内の状態を確認しておくことが大切です。

食事も、炎症のコントロールに関わる

歯科治療と並行して、

食事の面からも炎症を抑える意識が役に立つことがあります。

 

炎症を助長しやすいもの

  • 砂糖の摂りすぎ
  • 血糖値が急上昇しやすい食事
  • 超加工食品
  • オメガ6脂肪酸の過剰摂取

意識したいもの

  • 食物繊維
  • 発酵食品
  • EPA・DHA(青魚など)
  • オリーブオイル
  • 血糖値が安定しやすい食事

 

食事の内容は、口腔内の環境にも身体全体の炎症にも影響します。特

別なことをするというより、日々の積み重ねが土台になります。

 

私は身体をみる仕事をしていますが、

身体の部位は独立して働いているわけではありません。

 

姿勢、呼吸、足の状態を見るのと同じように、

口の中も全身の一部です。

 

不調が続くとき、筋肉や関節だけではなく、

口腔内の状態にも目を向けてみる。

 

そういう視点を持っておくことが、

身体全体を整えることにつながると思っています。

 

まだ歯科で定期検診を受けていない方は、

一度受けてみることをおすすめします。

 

足趾変形の3つの違い|ハンマー趾・鉤状趾・槌状趾は「曲がる関節」で見分ける

この3つの違い、説明できますか。

ハンマー趾・鉤状趾(クロートゥ)・槌状趾(マレットトゥ)

 

名前は聞いたことがある。

でも何が違うのかと聞かれると、ちょっと詰まる。

 

そういう方は多いと思います。

 

名前が似ていて混乱しやすいのですが、

実はこの3つ、全く別の変形です。

 

 

何が違うのかというと

どこの関節が曲がっているかです。

 

まずそこを押さえると、一気に整理できます。

 

足趾には3つの関節がある

足の指には、それぞれ3つの関節があります。

 

・MTP関節(足趾の付け根)

・PIP関節(真ん中の関節)

・DIP関節(爪に近い先端の関節)

 

※母趾(親指)だけは関節が2つで、

先端の関節はIP関節と呼ばれます。

 

この3つの関節のうち、

どこが曲がっているかによって、変形の名前が変わります。

 

 

ハンマー趾とは

もっとも多い変形のひとつ。第2〜4趾によく見られます。

特徴は、PIP関節(真ん中)が強く曲がること。

 

指の中央が山のように盛り上がった形になります。

 

関節の背が靴の上面に当たりやすく、

タコや魚の目、痛みが出やすい場所です。

 

鉤状趾(クロートゥ)とは

MTP・PIP・DIP、3つすべての関節が変形しているものです。

 

MTP関節が反り返り、PIPとDIPが曲がる。

まるで鳥のかぎ爪のような形になります。

 

足趾全体が縮こまるため、

靴への当たりも足裏への圧も集中しやすい。

 

神経障害や筋肉バランスの崩れで見られることもありますが、

原因はひとつではないため、見た目だけで断定はできません。

 

槌状趾(マレットトゥ)とは

DIP関節(爪に近い先端)だけが曲がるものです。

指先だけが下を向いた形になります。

 

タコができやすいのは、爪の周囲や足趾の先端。

ハンマー趾とは当たる場所が違います。

3つを並べて比較する

 

変形 MTP PIP DIP タコができやすい場所
ハンマー趾 屈曲 PIP関節の背面
鉤状趾 伸展 屈曲 屈曲 PIP背面・足趾先端・足裏
槌状趾 屈曲 DIP背面・足趾先端

 

柔らかいうちは、動く

変形には段階があります。

 

初期は柔軟性変形といって、手で押すと関節が動く状態。

進行すると硬直性変形になり、

関節や周囲の組織が硬くなって戻りにくくなります。

 

同じハンマー趾でも、柔らかい段階と硬くなった段階では、

アプローチがまったく変わります。

 

名前を知ることも大切です。

でも私がレッスンで意識しているのは、

「どこの関節が、なぜ動かなくなっているのか」を見ることです。

 

ハンマー趾だから同じ運動、クロートゥだから同じケア

そういう話ではありません。

 

足趾の変形は、足趾だけで起きていることではないことが多いからです。

 

足部全体のアーチや荷重のかかり方、足関節の動き、股関節、

そして身体全体の使い方まで含めて見ていくと、見えてくるものが変わってきます。

 

足指を見るとき、私はいつも身体全体とのつながりを一緒に見ています。

 

足裏は鍛えるだけではもったいない|身体が変わる人は足裏の感覚を育てている

こんなお悩み、ありませんか。

 

・足裏が硬くなってきた

・外反母趾が気になっている

・長時間歩くと思ったより疲れる

・バランスが昔より悪くなった気がする

 

「足裏を鍛えた方がいい」と言われたけれど、何をすればいいかわからない

 

こういう相談を受けると、

よく「足底筋を鍛えましょう」という話になります。

 

確かに、足底筋の筋力は大切です。

でも足裏の役割は、それだけじゃない。

 

足裏は筋トレをする場所というより、身体の状態を脳へ伝える、感覚の入口です。

今日はその視点からお話しします。

足裏には何があるのか

足には3つのアーチ構造があります。

・内側縦アーチ

・外側縦アーチ

・横アーチ

 

この3つが組み合わさることで、足は体重を分散させながら、

動きに応じて形を微調整しています。

 

ここで一つ、誤解されやすいことをお伝えしておきたいのですが

アーチを保っているのは足底筋だけではありません。

 

靭帯、足底腱膜、骨の形、そして下腿の筋肉、

さまざまな構造が連携して初めてアーチは機能します。

 

「足底筋を鍛えればアーチが戻る」と聞くことがありますが、

実際にはもう少し複雑なしくみの上に成り立っています。

 

足底筋の役割

足底筋群が関わるのは、立つ・歩く・走るだけではありません。

 

着地したときの衝撃吸収

蹴り出しの力を地面へ伝える

立位での姿勢安定

細かなバランス調整

趾の個別コントロール

 

日常のあらゆる動作に関わっています。

 

ここまでは一般的な解剖学の話。

ここからが、私が本当に伝えたいことです。

 

足裏は「感覚器」である

足裏には、感覚受容器が非常に多く集まっています。

皮膚の変形を感知するメカノレセプター、

圧力の変化を拾うもの、振動を感知するもの

 

種類も数も、身体の中でも特に豊富な部位のひとつです。

 

私たちはただ立っているだけでも、

足裏から絶え間なく情報を受け取っています。

 

その情報が脳へ届き、脳は状況を判断して筋肉へ指令を出す。

姿勢を微調整し、バランスを保ち、次の動きへつなげていく。

 

「脳が筋肉を動かしている」というより、

「感覚をもとに、脳が身体をコントロールしている」という方が実態に近い。

 

足裏からの感覚入力が乏しければ、脳は不完全な情報で判断することになります。

筋力がそれなりにあっても、感覚が育っていなければ動きの質はなかなか変わらない。

 

レッスンでもそれを感じることが多いです。

 

足裏を「感じる」ために動かす

私が足裏を動かすとき、目的は筋力アップだけではありません。

足裏から脳へ情報を送り、身体全体のつながりを整えるためです。

 

足裏の感覚が変わると、そこから先が変わっていきます。

  • 呼吸が深くなる
  • 股関節の動きがなめらかになる
  • 体幹が安定してくる
  • 頭の位置が変わり、目線が落ち着く
  • 歩き方そのものが変わる

大げさに聞こえるかもしれませんが、

身体が全身でつながって働いているからこそ起こることです。

 

足裏は全身の動きの起点になりえます。

 

ピラティスで足裏を大切にする理由

私がピラティスの指導で意識していることのひとつが、

足裏から頭までつながる感覚を育てることです。

 

伸びる、支える、呼吸する

こういった動きの質は、筋力だけでは作れません。

 

足裏で地面を感じ、その情報が骨盤・体幹・呼吸へとつながっていくとき、

動きは自然に変わっていきます。

 

頑張って動かすのではなく、感覚を通して身体が応答していく。

そういう動きを一緒に探っています。

 

足裏は「身体の土台」とよく言われます。

それはそのとおりだと思います。

 

でも私的には、もう少し別のとらえ方もしています。

足裏は、身体と脳をつなぐ入口。

 

だから鍛えるだけでなく、感じることを大切にしています。

足裏の感覚が育つと、姿勢や歩き方が変わっていきます。

 

それは筋力の変化というより、

脳が身体をより正確に読み取れるようになるプロセスです。

 

足の感覚を育てるための講座があります。

7月23日(木)

足のセルフケア講座

 

足の関節を一つ一つ動かして、足の硬さを取ります。

 

関節が動くようになることで足裏の感覚が変わり

肩や首の楽さ、膝の軽さ、呼吸の深さなど

 

より心地良い身体への変化を感じることができます。

 

詳細はこちらです

ご興味ある方はぜひぜひ。

 

坐骨神経痛のような痛み、梨状筋だけを見ていませんか?

お尻の奥が痛い。座り続けたあとに立つと痛む。

長時間歩くと違和感が出てくる。

その痛いみが、太ももの裏側に広がるような感覚がある。

 

そういう時、インストラクターが、まず思い浮かべるのは

「坐骨神経痛」や「梨状筋症候群」ではないでしょうか。

 

ただ、ここで一度立ち止まって考えてみたいことがあります。

これらの症状は、本当に梨状筋だけの問題なのでしょうか。

 

お尻の奥の痛みやしびれ感は、

いくつかの要因が重なって起こることが多く、症状の出方だけで原因を

一つに特定するのは難しいというのが実際のところです。

「お尻が痛い=梨状筋が硬い」という単純な図式で捉えてしまうと、

その背景にある身体の使い方の問題を見落としてしまう可能性があります。

 

この記事では、梨状筋という筋肉そのものの

解剖学的な特徴を確認しながら、

「なぜ梨状筋が過剰に働く状況が生まれるのか」という視点で、

お尻の奥の痛みを考えていきます。

梨状筋とはどんな筋肉か

梨状筋は、仙骨の前面(仙骨の骨盤側の面)から起こり、

大腿骨の大転子に付着する筋肉です。

深層外旋六筋と呼ばれるグループの一つで、このグループには梨状筋のほか、

内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋が含まれます。

 

主な作用は股関節の外旋ですが、

股関節の屈曲角度によって作用の出方が変わる筋肉でもあります。

股関節が中間位やそれに近い角度では外旋に働きますが、

深く屈曲した状態では内旋方向への作用に転じるとされており、

単純に「外旋筋」と覚えるだけでは不十分な側面があります。

 

もう一つ重要なのは、梨状筋が股関節を「動かす」だけでなく、

「安定させる」役割も担っているという点です。

大腿骨頭を寛骨臼に引き寄せるような作用があり、

特に立位や片脚での荷重時に、股関節の位置を微調整する仕事をしています。

 

小さな筋肉ですが、股関節という大きな関節の中で、

いわば「ポジショニングの調整役」として働いているのが梨状筋です。

 

 

なぜ梨状筋が問題になるのか

梨状筋が坐骨神経と関係あるのは位置関係があります。

 

坐骨神経は梨状筋の下を通過するのが一般的なパターンとされていますが、

実際には個人差が大きく、神経が梨状筋を貫通していたり、

梨状筋の上下に分かれて走行していたりするなど、

複数のバリエーションが報告されています。

 

私がアメリカで解剖の実習に行った時も

ご献体のうち梨状筋の下を通ってる方もいらっしゃいました。

 

こうした走行のばらつきがあるため、

梨状筋が硬くなったり過緊張を起こすと、

坐骨神経を圧迫しうる場合があります。

 

これが、梨状筋症候群という考え方の前提です。

ただし、梨状筋症候群という概念が存在することと、

目の前のお客様の痛みがそれに当てはまることは、別の話です。

 

坐骨神経痛様の症状の要因は一つではなく、

梨状筋はあくまで「可能性の一つ」として捉えておくのが妥当です。

 

梨状筋は原因なのか、結果なのか

ここからが、この記事で最も伝えたい部分です。

 

梨状筋が硬い、過剰に緊張している、という状態が見られたとき、

「梨状筋が原因で痛みが出ている」と考えるのが一般的です。

なんですが、もう一つの見方として、

「梨状筋は結果として過剰に働かされている」という可能性も

考えてみる必要があります。

 

なぜそう考えるのか。いくつかの視点から見ていきます。

ひとつは、大臀筋と中殿筋の働きです。

 

大臀筋は股関節を伸ばす動き、

中殿筋は片脚で立つときの骨盤の安定の筋肉です。

 

このどちらかがうまく働かないと、股関節の安定を守るために、

深層外旋六筋である梨状筋が代わりに働くことになります。

大きな筋肉が仕事をしない分を、小さな筋肉が引き受ける構造です。

 

もうひとつは、股関節よりも深い場所にある、

回旋のコントロールと仙腸関節の安定性です。

 

股関節の回旋を支える力が弱かったり、

骨盤と脊柱をつなぐ仙腸関節が安定していなかったりすると、

梨状筋のような小さな外旋筋が常に踏ん張り続けます。

 

最後は、股関節前面の緊張です。

腸腰筋などの前面の組織が過緊張していると、後方の組織にも影響があって

梨状筋が引き伸ばされたり、過活動を強いられたりすることがあります。

 

これらを並べてみると、見えてくるのは

梨状筋が単独で「悪さをしている」のではなく、股関節全体、

 

もしくは骨盤・体幹を含めたコントロールの不足を、

梨状筋だけが担おうとしてる状態として痛みが出ているのかもしれない

 

という見方です。

 

これは仮説ではありますが

「梨状筋だけを見て終わらせない」という姿勢は、

指導者として持っておく価値があると感じます。

 

 

ピラティスインストラクターが見るべきポイント

ここまでの内容から、

痛い場所だけを見て終わらせないことの重要性が見えてきます。

大切なのは、部位を一つずつ確認することではなく、

それぞれがどうつながり、どう影響し合っているかを追うことです。

 

たとえば、立位での骨盤の位置は、そのまま股関節の可動性に影響します。

 

骨盤が過度に前傾や後傾していれば、股関節まわりの筋肉の

長さや張力関係が変化していて、

股関節が「自由に動ける状態」からずれてしまっています。

 

この姿勢の連鎖は、静止しているときよりも、動いているときに表れます。

 

片脚立位で骨盤がどちらに揺れるか、

歩行のどのタイミングで股関節の安定が崩れるか。

こうした動きの中の変化は、立位姿勢や骨盤位置で見えていた偏りが、

実際の荷重場面でどう代償運動につながっているかを教えてくれます。

 

呼吸も、この連鎖に大きく関わっています。

 

体幹の安定は呼吸のパターンと結びついていて、

体幹が安定していなければ、骨盤や股関節の動きにもその影響があります。

 

こうして姿勢、可動性、呼吸、動作をひとつの連なりとして見ることで、

「梨状筋が硬い」の手前にある、もう一段深い背景に気づけることがあります。

 

筋肉を緩めるだけでは改善しない理由

梨状筋へのストレッチやリリースを行うと、

一時的に楽になることがあります。

 

これは、過緊張していた筋肉のテンションが下がることで、

坐骨神経への圧迫や周囲組織への刺激が一時的に軽減されるためと考えられます。

 

なんですが運動パターン、荷重戦略、股関節の機能、体幹との協調関係が変わらなければ、

緩めた筋肉は再び同じ役割を求められ、緊張状態に戻っていきます。

 

ストレッチやリリースももちろんアリですが

それを「対処」で終わらせるか、「なぜ硬くなるのか」という

問いへの入り口として使うかで、指導の質は変わってくるはずです。

 

指導者に必要な解剖学は、筋肉の名前と作用を覚えることだけではありません。

「なぜその筋肉が、そこまで働き続けているのか」を考える視点です。

 

股関節は骨盤、脊柱、下肢との繋がりがあって、

その全体像を理解しようとすることで、

お尻の奥の痛みへの見方は変わっていきます。

 

股関節や骨盤周囲の解剖学を、もう少し深く学んでみると、

身体全体のつながりを読み解く視点が広がっていくはずです。

 

 

 

 

深呼吸でむくみが変わる理由

前回は大腰筋の話をしました。

骨盤の深部にある筋肉が、リンパのポンプとして働いているという話でしたね。

 

今回はその大腰筋と深いつながりを持つ「横隔膜」と呼吸の話です。

 

呼吸でむくみが変わる、と聞いてもピンとこないかもしれませんが

仕組みを知ると納得できると思います。

 

横隔膜ってどんな筋肉?

横隔膜は、肺の下に傘のように広がっている筋肉です。

息を吸うと横隔膜が下に下がり、肺が膨らむ。

 

クラゲが泳ぐように動きます。

 

息を吐くと横隔膜が上に戻り、肺が縮む。

呼吸のたびに上下に動き続けている筋肉です。

1分間に15〜20回、一日にすると2万回以上動いています。

 

これだけ動いているということは、

横隔膜は身体の中でかなり大きなポンプになっているということでもあります。

 

呼吸がリンパを動かしている

リンパ管は心臓のように自分で強く拍動することができません。

筋肉の動きや体の圧力変化を利用して、少しずつ流れています。

 

息を吸うとき、横隔膜が下がって胸腔(肺のある空間)の圧力が下がります。

この圧力の変化がリンパ管に影響して、リンパ液が上の方へ引き上げられる。

 

呼吸するたびにこの動きが繰り返されることで、全身のリンパ循環が助けられています。

 

特に、胸の中心部には全身のリンパが集まってくる太い管があります。

横隔膜の動きはそのすぐそばで起きているので、呼吸の影響をダイレクトに受けます。

 

浅い呼吸が続くとどうなる

デスクワーク中、自分の呼吸を意識したことはありますか。

集中しているとき、人は呼吸が浅くなりがちです。

 

画面を見ながら前傾みになり、胸が縮んだ姿勢が続く。

そうすると横隔膜の動きも小さくなって、リンパを引き上げるポンプとしての働きが弱まります。

 

一回の呼吸が浅くなるだけでも、それが何時間も続けば影響は積み重なります。

夕方にむくみがひどくなるのは、重力の影響だけでなく、

一日分の浅い呼吸が積み重なった結果でもあるかもしれません。

 

大腰筋と横隔膜はつながっている

少し専門的な話になりますが、横隔膜と大腰筋は筋膜を通じてつながっています。

深い呼吸をすると横隔膜がよく動き、その動きが筋膜を通じて大腰筋にも伝わります。

 

前回お話しした大腰筋のポンプ作用も、呼吸と連動して働いているんです。

逆に、大腰筋が硬くなっていると横隔膜の動きも制限されやすくなります。

座りっぱなしで大腰筋が固まり、呼吸も浅くなり、リンパの流れが滞る

 

この3つはバラバラに起きているのではなく、ひとつながりの問題です。

 

今日からできること

鼻からゆっくり息を吸って、口からゆっくり吐く。

 

前回紹介した「坐骨を立てる座り方」をしてから深呼吸してみてください。

 

骨盤が立った状態だと横隔膜が動きやすくなるので、

呼吸の深さが変わるのを感じられると思います。

 

3回にわたって、むくみと骨盤・大腰筋・呼吸の関係をお伝えしてきました。

 

脚がむくむのは脚だけの問題ではなく、体の深部の筋肉や、

毎日何万回も繰り返している呼吸とも関係している。

 

そのことが少しでも伝わっていたら嬉しいです。

 

具体的にどんなことをしていけばいいかは

また動画でまとめたいと思いますのでお楽しみに。

 

脚のむくみと大腰筋の意外な関係

前回は、脚のむくみが骨盤まわりのリンパの流れと

関係しているという話をしました。

 

今回はその骨盤の深部にある「大腰筋」という筋肉に注目してみます。

 

むくみと筋肉、あまり関係なさそうに思えるかもしれませんが、

これが意外とつながっているんです。

大腰筋ってどこにある筋肉?

大腰筋は、背骨の腰のあたりから骨盤の内側を通って、

太ももの内側の骨につながっている筋肉です。

 

体の表面からは触れない、体の奥深くにある筋肉のひとつです。

 

股関節を曲げる動き

たとえば歩くときに脚を前に出す動作に大きく関わっています。

 

姿勢を保つうえでも重要で、背骨や骨盤を内側から支えています。

ピラティスでもよく「インナーマッスル」として取り上げる筋肉のひとつです。

 

なぜむくみと関係するのか

大腰筋のすぐそばには、リンパ管や太い血管が通っています。

大腰筋が柔軟に動いているとき、その動きがポンプのような役割を果たして、

まわりのリンパや血液の循環を助けています。

 

歩いたり体を動かしたりするたびに、

大腰筋が収縮・伸長を繰り返すことで、リンパが流れやすくなる。

 

逆に言うと、大腰筋が硬くなったり動かなくなると、

そのポンプ作用が弱まって、リンパの流れが滞りやすくなります。

座りっぱなしで大腰筋はどうなる?

椅子に座った姿勢では、股関節が曲がったまま固定されます。

大腰筋はその股関節を曲げる筋肉ですから、

座っているあいだはずっと縮んだ状態が続いている、ということになります。

 

筋肉は長時間同じ状態で固定されると、その形のまま硬くなっていきます。

デスクワークが多い方の大腰筋が硬くなりやすいのはこのためです。

 

硬くなった大腰筋は動きが小さくなるので、

ポンプとしての働きも弱まる。

 

骨盤まわりのリンパが流れにくくなって

夕方の脚のむくみにつながっていくという流れです。

歩くことがいちばんのケアになる理由

「とにかく歩いと方が良い」とよく言われるのは、実はこういう理由もあります。

歩くとき、大腰筋は脚を前に出すたびに伸び縮みを繰り返します。

 

その動きがリンパのポンプになる。ウォーキングがむくみ対策として勧められるのは、

ふくらはぎだけでなく大腰筋も動かすからです。

 

逆にいうと、エレベーターやエスカレーターばかり使っていたり、

移動のほとんどが車だったりすると

大腰筋はほとんど動かないまま一日が終わってしまいます。

 

今日からできること

意識して階段を使うだけで、大腰筋への刺激が増えます。

特別な時間を取らなくてもできる、日常の中の小さな積み重ねです。

 

大腰筋の話をしてきましたが、実はこの筋肉、呼吸ともつながっています。

次回は横隔膜と呼吸の話です。

 

「深呼吸するとむくみが変わる」と聞いたら、イメージできますか。

その理由を解説します。

 

夕方になると脚がむくむ本当の理由

夕方、靴を脱いだときに「あ、今日もむくんでる」。。。

そんなことありませんか。

 

デスクワークや家事で座っている時間が長いと、

夕方になるにつれて脚がパンパンになってくる。

 

ふくらはぎをマッサージしたり、寝るときに脚を高くしたり、

いろいろ試してはいるけれど、なんとなく根本的には変わっていない気がする。

 

そういう声をよく聞きます。

実は、脚のむくみは「脚だけの問題」ではないことが多いんです。

 

むくみってそもそも何?

むくみというのは、細胞と細胞のあいだに余分な水分がたまった状態のことです。

 

体の中では、血液が酸素や栄養を届けながら全身を巡っています。

そしてリンパ管という別のルートが、老廃物や余分な水分を回収する役割を担っています。

 

このふたつがうまく循環していれば、水分は滞らずに流れていく。

でも、何かの理由でリンパの流れが滞ると、水分が回収されないままたまってしまう。

 

それがむくみです。重力の影響もあって、たまりやすいのはどうしても下半身になります。

骨盤が「通り道」になっている

ここが今日いちばん伝えたいことなのですが、

脚から集まったリンパは骨盤の中を通って上半身へ流れていきます。

 

つまり骨盤は、下半身のリンパにとっての「交差点」みたいな場所。

 

ここがスムーズに機能していれば脚のリンパも上へ流れやすいのですが、

骨盤まわりの状態が悪いと、脚をどんなにほぐしてもなかなか改善しない

ということが起きます。

 

マッサージしているのに翌朝には戻っている、という方は、

この「通り道」の問題が関係しているかもしれません。

 

座りっぱなしが骨盤まわりを詰まらせる

椅子に座った状態では、股関節が曲がったまま長時間固定されます。

そうなると骨盤まわりの組織が圧迫されて、リンパの通り道が狭くなりやすい。

 

それだけじゃなくて、座っているとき骨盤は後ろに傾きがちです。

この姿勢が何時間も続くと、骨盤まわりの血流やリンパの循環にじわじわ影響が出てきます。

 

ふくらはぎの話でいうと、座っているあいだはほとんど筋肉を使いません。

ふくらはぎは収縮するたびに脚の血液を上へ送り出しているのですが、

座ったまま動かないとそのポンプが止まった状態になる。

 

水分が脚にたまりやすくなるのはこのためでもあります。

その場が楽になっても、通り道が詰まっていたら

ふくらはぎのマッサージや足首を動かしたりは、

その場の不快感を和らげるのに有効です。

 

続けることに意味がないわけじゃない。

ただ、なかなか改善しないと感じているなら、

骨盤まわりのケアも一緒に考えてみてほしいのです。

 

脚で集まったリンパは、骨盤を通って上半身へ向かいます。

骨盤まわりが詰まっていたら、脚をいくらほぐしても流れは変わりません。

 

今日からできること

坐骨を意識して足の裏をしっかりつけて座る

坐骨座ると、骨盤がすっと立ちます。

 

腰が自然なカーブを取り戻し骨盤まわりへの負担がずいぶん変わります。

 

足裏をちゃんとつけることで股関節の詰まりも軽減します。

 

1時間に一度、立ち上がる

立ち上がって少し歩くだけで、止まっていたふくらはぎのポンプが動き出します。

どうしても立てない状況のときは、足首を動かすだけでも違います。

 

次回は、骨盤の深部にある「大腰筋」という筋肉の話をします。

 

むくみとどう関係しているのか、

デスクワーク中心の生活を送っている方にはとても関係が深い筋肉です。

 

フットコレクターが痛くて使えない人へ、その理由と順番の話

こんな質問がありました。

「開張足があってタコもある、

フットコレクターのサドルにMP関節を乗せた底屈ができないんです」

 

こういうケース、現場では普通に出てきますよね。

 

でもこれ、どう対応するか迷う場面でもある。

器具が悪いのか、生徒さんの足の問題なのか、使い方なのか。

 

この記事では、そこを整理します。

 

現場で起きていること

横アーチが潰れている。タコがある。

荷重が一点に集中している。

 

この状態でサドルにMP関節を乗せて底屈しようとすると、

痛みが先に来ます。鍛えるとか、効かせるとか以前の話。

 

でもここで「できない=生徒さんが弱い」

「できない=使い方が間違っている」と判断してしまうと、

ずっと同じところで詰まります。

 

できないのは、その生徒さんの足がまだその準備ができてないから。

弱さじゃなくて、順番の問題です。

 

フットコレクターはある程度足の状態が整っている人に対して

質を上げる器具として機能しやすい。

 

土台がないとそもそも乗れないんです。

 

なぜ痛みが出るのか

横アーチが潰れている状態では、足底の荷重が分散されません。

特定のポイントにストレスが集中しているところに、

サドルという局所刺激が入る。

 

圧の逃げ場がなくなるから、痛みになる。

 

もう一つあるのが、感覚と運動の回路が

まだ形成されていないケース。

 

脳側が「この形で支える」というアイディアをまだ持っていない状態です。

 

ここに無理に動作を入れると、身体は防御反応として避ける動きを選ぶ。

だから正しくやらせようとするほど痛みが出る。

 

痛みが出ているとき、それは生徒さんの身体が

その動作パターンをまだ持っていないサインです。

 

そのとき何をするか

ここで使えるのが弾性包帯などの外部サポートです。

固定じゃなくて、一時的に形と感覚を渡すための補助。

 

横アーチを無理やり作るのではなく、

「こういう形で荷重が乗るんだよ」という情報を先に身体に入れる。

 

そのうえで初めて、身体がそのパターンを覚え始めます。

器具を使って足を変えるんじゃなくて、

足の状態を整えてから器具を使う。

 

この順番が大事です。

 

フットコレクターの本質

フットコレクターは、足を鍛える器具ではありません。

足から身体全体の連動を引き出すための道具です。

 

だから局所で潰して使うと逆に崩れる。

 

横アーチは作るものじゃなくて、

潰さない状態の中で結果的に育っていくもの。

 

生徒さんに伝えるときの基準はここです。

 

ガシャガシャ踏まない。

潰す方向で押し込まない。

エキセントリック(戻り)を感じる。

足だけで頑張らない。

身体全体のつながりで支える。

 

「潰さない」という条件が崩れると、

全部ただの局所トレーニングになります。

 

必要なのは強さじゃなくてエキセントリックなコントロール。

戻りを感じる方向で使う。

 

持っておきたい視点

痛くて使えない生徒が来たとき、

その状態は器具が合っていないわけでも、

生徒さんの問題でもない。

 

まだその段階じゃないというだけです。

 

だからインストラクターがやることは、

無理に器具を使わせることじゃなくて、

今何が足りていないかを見て、整える順番を作ること。

 

フットコレクターは横アーチを鍛える器具じゃなくて、

足から身体のつながりを作っていくための道具。

 

その視点を持っておくと、生徒さんへの関わり方が変わりそうですね。

 

四つ這いで手首が痛い理由|豆状骨と肩の安定の話

四つ這いのエクササイズ中に

手首が痛くて、長くできない

 

そんな経験ある方も多いかもです。

 

ヨガでもピラティスでも、四つ這いのポジションは基本中の基本。

でも手首が痛くて集中できないク生徒さんは意外と多いんですよ。

 

原因のひとつに、豆状骨(ずじょうこつ)の使い方があります。

 

豆状骨ってどこにある?

手首の小指側、掌側にある小さな骨です。

8つある手根骨のひとつで、「尺側手根屈筋」という

筋肉の腱の中に包まれるように存在しています。

 

種子骨的な性質を持ち、筋肉が力を発揮するときの滑車のような役割を果たしています。

小さいけれど、手首の動きを支える重要なパーツです。

なぜ豆状骨が使えないと手首が痛くなるのか

四つ這いのとき、多くの人は無意識に親指側(母指球側)に体重をかけます。

親指側に荷重が偏ると、手首の橈骨側の関節に圧迫が集中します。

 

これが手首の痛みの正体です。

 

豆状骨を床にちゃんと設置させると、

手全体で荷重をバランスよく受け取れるようになります。

 

手のひらに自然なアーチが生まれ、関節への集中した圧迫が減ります。

 

「手首が痛い」は、手首そのものの問題ではなく、

荷重の偏りから来ていることがほとんどです。

豆状骨を使うと、肩まで変わる

豆状骨の話は手首だけで終わりません。

豆状骨から前腕の尺骨を通じて、脇の下にある前鋸筋へと力が伝わりやすくなります。

 

前鋸筋は肩甲骨を安定させる筋肉です。

 

つまり豆状骨をしっかり床に接地することで、

肩がすくむのを防ぎ、肩甲骨が安定した状態で体重を支えることができます。

 

四つ這いで肩が不安定になる生徒さんに

ここで押してと伝えるだけで、肩の入り方が変わることがあります。

 

手の末端からの刺激が、体幹との連動を引き出す。

これが豆状骨を意識する本当の理由です。

レッスンでのポイント

豆状骨の場所を伝えるとき、小指の付け根と言うと少しズレます。

正確には手首の小指側、掌側にある出っ張りです。

 

豆状骨がちゃんと接地してると手がつぶれず

手のひらにアーチが生まれて荷重が変わります。

 

左右差も確認。

豆状骨の荷重に差がある場合、

肩甲骨の安定性や体幹との連動にも左右差が出ていることがあります。

 

小さな骨が、全身をつなぐ

豆状骨はわずか数センチの小さな骨です。

でもここを意識するだけで、手首の痛みが変わり、

肩の安定が変わり、体幹との連動が変わる。

 

末端の小さな一点が、全身をユニットとして機能させるスイッチになる。

そういう身体のおもしろさを、生徒さんと楽しむのもいいですよね。

 

 

レッスンでも使える、身体で感じる解剖学の講座を開催しています。

今年のファイナル開催8月スタートで準備しておりますので

気になる方はお待ちくださいね。

 

 

慢性的な首こりと眼精疲労|見落とされがちな後頭下筋群の役割

目が疲れやすくて夜になると限界です。

首の付け根がいつも重くてもう何年も肩と首がパンパン。

頭痛も慢性的に続いていてどうしていいかわからない。

首をボキボキっとすぐ鳴らしたくなる。

 

そんなご相談をよくいただきます。

マッサージに行っても、良いのはその時だけ・・・

根本の解決をそろそろしたいんです。

 

こういった不調、後頭下筋群という筋肉が関わっていることが多いです。

 

後頭下筋群とは

後頭下筋群は、後頭骨と第1・第2頸椎の間に位置する4つの深層筋です。

 

大後頭直筋・小後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋の4つで構成され、僧帽筋や頭半棘筋などの表層筋に覆われています。

主な機能は頭部の伸展・側屈・回旋ですが、それよりも重要なのが固有受容感覚への関わりです。

 

この筋群には、全身の筋肉の中で最も高密度の筋紡錘が存在しています。

筋紡錘は筋肉の長さや伸張速度を感知するセンサーですが、

後頭下筋群の場合は頭部の空間的な位置情報を脳に送り続けるという役割が特に大きいんです。

 

視線の安定、平衡感覚の調整、姿勢反射

これらすべてに後頭下筋群からの情報が使われています。

目を動かすたびに、首が動いている

眼球運動と頸部筋の関係は

前庭眼反射(VOR)と頸反射を通じて密接につながっています。

 

視線を安定させるために眼球が動くとき、

後頭下筋群はその動きに先行して頭部位置を微調整します。

 

パソコンやスマートフォンの画面を見ているとき、

眼球は絶えず微細な動きを繰り返しています。

 

その都度、後頭下筋群は数ミリ単位の調整を続けている

これが1日中続けば、小さな筋肉群にとっては相当な持続的負荷になります。

目の疲れと首の重さがセットで起きるのは、解剖学的に必然なんです。

 

筋硬膜橋 筋肉と脳をつなぐ構造

後頭下筋群には、他の筋肉にはない特異な構造があります。

 

「筋硬膜橋(Myodural Bridge)」と呼ばれる結合組織が、

後頭下筋群と脊髄硬膜を物理的に連結しています。

 

硬膜は脳と脊髄を包む膜で、痛みに敏感な組織です。

後頭下筋群が緊張すると、この橋を通じて硬膜にも張力が伝わります。

 

それが頭痛や頭重感として現れる。

「頭痛薬を飲んでも首の重さが取れない」というのは、

薬が効かないのではなく、原因が筋肉と硬膜の緊張にあるからかもしれません。

 

なぜめまいや動悸まで起きるのか

後頭下筋群は脳幹のすぐ近くに位置しています。

脳幹には心拍・呼吸・嘔吐中枢など自律神経の制御に関わる核が集中しています。

 

後頭下筋群の慢性的な緊張や炎症が、

この領域に機械的・神経的な刺激を与えることで、

心臓に問題がないのに動悸がしたり、

消化器系の問題ではない吐き気が出ることがあります。

 

また固有受容感覚の情報が乱れることで、

前庭系との統合がうまくいかなくなり、めまいや浮遊感が生じることもあります。

 

眼科で「異常なし」と言われた目の違和感。

検査しても原因がわからないめまい。

 

こういった訴えのある生徒さんに関わるとき、

後頭下筋群の状態を念頭に置いておくことは、指導の判断にも役立ちますよね。

 

アプローチの考え方

後頭下筋群は深層に位置するため、直接的な施術は難しく、

無理な刺激はリスクになることもあります。

 

有効なのは、この筋群が過剰に働かなくて済む状態をつくることです。

 

表層の僧帽筋や胸鎖乳突筋の緊張を解く。

横隔膜の機能を回復させ、頸部への代償を減らす。

頭部と頸椎のアライメントを整える。

 

特に大事なのは姿勢。

頭部前方位は特に負担をかけます。

 

姿勢の改善から後頭下筋群への負荷を減らせると

筋硬膜橋を通じた硬膜への張力も軽減されていきます。

 

ピラティスのアプローチで

こういう深層の問題にも届く理由がここにあります。

 
 
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