ピラティスのレッスン中、こんな場面によく出会います。
「肩が上がらないんです」
「腿の裏が突っ張って前屈できない」
「腰が重だるくて伸ばしたいんですけど…」
どれも「硬い」という感覚ですが、
その硬さが意味するものは、ひとつではありません。
ストレッチすれば気持ちよく伸びる筋肉もあれば、
無理に伸ばすと逆に痛みが出る筋肉もある。
本当に大切なのは、「この硬さの正体は何か?」を見極めること。
今日はその視点から、ストレッチとほぐしの違い、
そして「硬さ」の種類について、お話ししてみたいと思います。
私たちが「筋肉が硬い」と感じるとき、実際にはいくつかの異なる状態が存在します。
・筋短縮:筋肉が構造的に縮んでいて伸びにくい
・攣縮(れんしゅく):筋肉が緊張してロックされていて押すと痛い
・拘縮:長期間動かさずに、筋や関節が固まってしまっている
ぱっと見ではどれも「硬い」のですが、
この3つは、原因も、感覚も、必要なケアもまったく違います。
まずは押して痛いかをチェックします。
・押して痛くない → ストレッチでOK
・押すと痛い・ビリビリ・違和感 → 無理に伸ばすと逆効果。まずはほぐす
これは筋肉の中の「サルコメア」と呼ばれる微細な単位の働きにも関係しています。
筋短縮とは、サルコメアが縮んだままになっている状態。
攣縮とは、神経興奮などでサルコメアが縮み続けて血流が悪くなっている状態。
感覚としては、前者は「ピーンと張ってる」、後者は「ズーンと重く痛む」ような違いがあります。

筋短縮とは、筋肉の構造そのものが縮んだ状態を指します。
長時間の同じ姿勢や、運動不足、柔軟性の偏りなどにより、
筋繊維の中にある「サルコメア」という最小単位が短くなったままになっている状態です。
・張り感はあるが、押しても痛くない
・動かすとつっぱる・伸びにくい
・可動域が狭くなるが、日常生活に支障は少ない
・ストレッチで筋肉をゆっくりと伸ばす
・筋膜リリースや動的ストレッチも有効
・呼吸と連動して動かすことで、長さを取り戻す
攣縮は、筋肉が神経的に過剰に収縮してロックされた状態です。
筋肉が自発的に緊張しており、リラックスできず、血流も低下しています。
疲労・冷え・ストレス・使いすぎなどが引き金となりやすく、
筋内には痛み物質(乳酸など)も溜まりやすい状態です。
・押すと痛い・ズーンと重い・しこりのような感覚
・収縮時にも痛みが出る
・触れると“点”で鋭い反応がある
・優しく緩める(押したり揉まない)
・温めたり、呼吸とともにゆるめる動きを取り入れる
・過緊張の原因に気づいてあげる

| 比較項目 | 筋短縮 | 攣縮 |
|---|---|---|
| 押したとき | 痛くない | 痛い・不快感あり |
| 動かしたとき | つっぱる・伸びにくい | 重い・痛い・力が入らない |
| 血流 | ほぼ正常 | 低下/冷たい/鈍い |
| 対応法 | ストレッチでOK | まずは緩めてから |
| 主な原因 | 姿勢・使わなさ・縮み癖 | 過緊張・ストレス・使いすぎ |
| 筋肉の状態 | 感覚の特徴 | おすすめのケア |
|---|---|---|
| 筋短縮 | 張っている/伸びにくい/押しても痛くない | ストレッチ |
| 攣縮 | 押すと痛い/重だるい/収縮でも痛む | ほぐす・緩める・温める |
| 拘縮 | 動かない/関節可動域がない/感覚が鈍い | 他動運動・段階的なケア・リハビリ |
KANONのピラティスは、「動かす」ことよりも「感じる」ことから始まります。
だから、ただ硬いからといって伸ばすのではなく
その硬さの意味を感じること。
ピラティスは、そんな静かな対話の時間でもあります。
KANONではこの内容をさらに深く掘り下げた
「サルコメアと筋肉反応の見極めセミナー」をnoteで公開予定です。
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