最近、話がうまく入ってこなかったり、
気づいたら身体がこわばっていたり…
そんな「なんとなく」の違和感を感じること、ありませんか?
私たちが「立つ」「座る」といった何気ない姿勢を保てているのは、
脳と身体が、つねに情報をやりとりしてくれているおかげです。
このやりとりには、主に3つの感覚が関わっています。
① 体性感覚
身体が今どこにあって、どんなふうに支えられているかを感じ取る感覚。
② 視覚
周囲の景色や空間との関係性を見て、身体の位置を調整してくれます。
③ 前庭感覚
頭の位置や動きをキャッチして、バランスをとるための情報を送ってくれます。
わたしたちは、ただ「立つ」だけのときよりも、
会話をしながら立っていたり、何かを考えながら動いていたり…
姿勢を保ちながら“別のこと”をしている場面の方が多いものです。
このような場面では、
身体のバランスを保つことと、考えたり話したりすること
を同時にやっていることになります。
けれど、もしこの二つを同時にこなすのが難しくなったら、
脳はまず「転ばない」「支える」という身体の安定を優先させます。
たとえば…
細いロープの上を歩いていたとしたら、
人と会話をする余裕なんてなくなってしまいますよね。
考えごとなんて、とてもできない。
無意識に、身体を守ることに集中してしまう。
それと同じで、姿勢を保つのが難しい状態のとき、脳は認知の働きを“後回し”にするようになります。
だからもし、
話の内容がうまく理解できなかったり
周囲の空気が読めなかったり
つい言わなくていいことを言ってしまったり…
そんな場面が増えてきたとしたら、
「もしかして身体の動きに余裕がないのかも?」
と、一度立ち止まってみるのもいいかもしれません。
“身体をうまく動かせる状態”をできるだけ長く保つことは、
ただの健康維持ではなく、
まわりの人との関係や、自分の思考をやわらかく保つための土台なのだと思うのです。
自分が立っている場所。今いる空間。動いている感覚。
それらを受け取ることができれば、
私たちの脳は思考やや会話に意識を向ける余裕を持つことができます。
身体の内側に、少しでもスペースが生まれたとき
会話にも、心にも、やさしい余裕が広がっていきます。